第3回シングルファザー編の様子
報告 父親ネットワーク北海道「お父さん講座」
“先輩お父さんから学ぼう!”というテーマで行ったお父さん講座(3回連続・父親ネットワーク北海道主催)が終了しました。それぞれの講座の様子や学び合った内容を報告致します。お父さんだけでなくお母さんや若者も交えての交流になりました。
■第1回(2015年2月1日)は、「乳幼児期編~共働きのお父さんのための学習交流会『どんなふうに子育てと仕事を両立していけばいいの?』」をテーマに行いました。話題提供として札幌市内にある保育所のおやじの会のお父さん3名にお越しいただきました。子育てと仕事の両立のための日々の工夫や仕事観の変化などを率直にお話ししてくださいました。日々の工夫としては、乳児の頃、ぐずる子どもを寝かしつけるのは大変だ・・・という視点だけにとどまると親も苦しくなるので、発想を転換!、自分自身も心地よく過ごせるように少々設備投資?!をしたそうです。高性能なワイヤレスのヘッドホンを購入。子どもをあやしながらお父さんも好きな音楽でリズムを刻み、ぐずる子どもを抱っこしながらスイングする時間に変化させたそうです。ワイヤレスですから、家中どこへ行ってもOK。これは大変良いアイデアでした!とのことでした。
また、仕事の方法も子どもが生まれてから変えました!という経験談も語られました。それまでは「この仕事は自分でなければ」という思いが強く、必ずしも同僚と共有しながらというやり方ではなかったそうです。しかし、子どもが生まれ、共働きを続ける場合、子どもが熱をだせば仕事を切り上げなければなりません。共働きですから母親だけがいつも休むことにはならず、必然的に仕事のやり方を変えていったそうです。いつ自分が休んでも同僚が進捗状況を把握し、フォローできる態勢を構築。上司からの無言のプレッシャーがないわけではないそうですが、その辺りは必要以上に気にしないことも重要とのことでした。
参加したお父さんたちからは、「転勤族なので冬の間、幼児をどのように遊ばせたらいいのかわからない」といった疑問や「妻の求める家事、育児のレベルが高すぎて・・・」といった声も聞かれました。また、育児休業中のお父さんからは、「家事と育児の両立が難しい。子どもの世話をしていると、なかなか家事に手が回らない。皆さんはどのように工夫しているのか?」といった質問もあり、参加者の経験談が語られました。
※札幌には転勤族の家庭も多いですが、例えば冬の過ごし方、雪遊びの方法などちょっとしたアドバイスが有効だと思います。しかし、なかなかこういった情報が届きにくい現状があるようです。
また、母親の育児家事の技能と父親のそれとでは慣れていな分差があるようです。妻と同レベルを求められるもののそれにこたえられない夫の苦悩があるようでした。
■第2回(2月14日)は、「思春期・青年期編~思春期の子育てを考える学習交流会『父親としての関わり方とは?』」をテーマに行いました。話題提供には、中学生の頃に不登校だった大学生に来ていただきました。父親が教育熱心な家庭で、小学生のころから勉強第一の暮らしだったそうです。父親に対しては尊敬の気持ちはあったものの思春期に入り、なぜ勉強をしなければならないのか?なぜ学校に行かなければならないのか?分からなくなり自宅で考え続ける日々となったようです。その疑問がより深いところまでいき、「何で生きているのか?」ということも考えるようになったそうです。その後、親の転勤や時の経過の中で高校へ進学する意欲が芽生え、大学も合格。今はあのころがあったから今の自分があると思えるようになったと、心情の変化を丁寧にお話ししてくれました。
参加したお父さんたちからは、「不登校というともっと違う理由によるものという思い込みがあった」、「思春期の自分の出し方も昭和の頃とは異なっているのかもしれない。自分が若い頃は、暴走族になったり、麻雀やパチンコなどにはまったりも多かった」という声もありました。また、お父さんの中には「高2の息子とかれこれ1年ぐらい口をきいてもらえない状態です」というお話しも・・・。「時がくれば歩み寄れるのでは・・・と考えている」とのことでしたが、思春期の子育てについて他の家庭ではどうなのか、まったく知る機会もなく、今回のような交流会があればまた参加したいという感想をいただきました。
※思春期の子育て課題もさまざまですが、小学校高学年くらいになって哲学的なことを考え始める時、親や学校の先生といった少人数の大人だけでなく、多様なものの見方考え方を語ってくれる年長者が身近にしかも複数存在する必要があるのではないかと考えさせられる交流会でした。
■第3回(3月1日)は、「シングルファザー編~シングルファザーのための学習交流会『子育てに関わる情報を交換しよう!』」をテーマに行いました。話題提供として「北海道シングルパパ支援ネットワーク『えぞ父子ネット』代表のお父さんにお越しいただきました。母子の家庭は様々なネットワークがあるけれど父子の家庭は生活に関するネットワークがなく想像以上の困難があるとのことでした。仕事を優先すると→地域での孤立、子育てを優先すると→職場での孤立になることも少なくないそうです。子育てに関する行政の支援や制度を知ることの大切さと助けてといえるネットワークを持っているかどうかがカギとなるとのことでした。シングルファザーになってから、やってみて良かったこともお話ししてくれました。一つ目は幼稚園の茶話会に参加したこと。お母さんたちのネットワークに入れてもらえ、たくさんの情報を共有できたそうです。二つ目は近隣の習い事に子どもを通わせたこと。子どもの年齢が異なる子育て仲間ができ、見通しを持った子育てになったそうです。三つ目はブログを始めたこと。シングルのお父さんをはじめいろいろな人とのつながりができたそうです。
参加されたシングルのお父さんからは、父子家庭になり頼る人、相談する人もなく、海外で子育てをしているみたいな感じになりました・・・という声や行政や市民団体の支援があることをまったく知りませんでした・・・、という声もあがりました。
※同じひとり親家庭であっても母子の家庭と父子の家庭では、抱える困難も異なる部分があり、まだまだ支える手が足りないと実感しました。特に父子の家庭は支援の情報がほとんど届いていないケースもあり、窓口を設け待っているだけではいけないといえます。母子の家庭に比べ収入が高く行政の支援制度を利用できない場合もあるようですが、住宅ローンを抱えている家庭などは、決して経済的に楽ではないという声もありました。
参加いただいた皆様ありがとうございました。第2弾も企画していけたらと思います。