シングルファザーハンドブック 3

■相談編

行政の支援を受けたくても受けられない!

一郎父さん

「シングルになって、行政の窓口に相談に行ったところ、母子家庭の支援ばかりでした・・・。仕事を変え収入は減り、子育と家事で本当に大変でした。頼る場所がなくて、役所に行くのですが、“収入があるでしょ”と言われ、何の支援も受けられませんでした」

キラパパ

「役所に行っても収入制限で“自分で民間のベビーシッターさんを頼んでください”と言われました。おむつも外れていない子どもの世話と仕事でてんてこ舞いでしたが、助けてもらえませんでした。

しかし、民間のシッターさんは、料金が高く、度々頼めるものではありません。無理やりにでも仕事を切り上げて、子どもの世話を優先していました。

職場の理解はありますが、何度も熱を出して、早退すると責任者として仕事ができません。子どもが小さな内は、定時に出勤するという形態そのものが難しいです。会社が理解を示しても、同僚らの不満は募りますし、私の評価も正直下がっているんだろうと思います」

16
■相談編

誰にも頼らず、誰にも知られない、絶対的少数派「父子家庭」・・・

キラパパ

「シングルファザーには、持ちつ持たれつは、ほとんどないと思います。同じ状況の人がほとんどいないので。孤独です」

キラパパ

「実際、どこまで人に頼っていいものか悩みますね。保育所などで顔見知りになった方が残業の時などに子どもを預かってくれるのですが、何時まで甘えていいものか、皆さんどうされているのでしょう」

一郎父さん

「どこまでカミングアウトしてるかによって、相談や頼る内容も違ってくると思います」

キラパパ

「おそらく職場に相談できる人がいると一番いいと思います。けれどなかなかそんな関係は作りにくいし、実際、職場では子どもを預け合うような関係はありません」

17
■相談編

孤立を乗り越え、人の助けを借りてみよう!!

園や小学校で・・

その1、保育所、幼稚園、小学校の保護者会に積極的に出席してみる。

その2、園や小学校の行事に参加してみる。

その3、先生に状況を話し、理解と協力をお願いしてみる。

住んでいる地域で・・・・

子育て支援の場に出かけてみる。

ニコママ

「乳幼児とその親が無料で利用できる子育て支援センターや地域子育て支援拠点という施設があります。土曜日、日曜日にも開設しているところもありますので、一度利用してみるといいと思います。子育てサロンという名前で住民が地域の会館で開いている場合もありますので、のぞいてみてください。

サンデーサロンという名称で日曜日に開いているところもあります。父親と小さな子どもの利用が多いサンデーサロンもありますので、探してみてください。

NPOや市民団体が運営している子育てサロンは、おすすめです。シングルファザーが日常生活の困りごとを相談して、解決した事例もありますので、思い切って訪問してほしいと思います」

18
■相談編

シングルファザー向けの民間子育て支援組織、団体ってどんなものがあるの?

■「父親ネットワーク北海道」

本誌を編集した団体です。2011年に北海道内でおやじの会の活動をしている父親やおやじの会OB会の活動をしている父親がつながり合ってできた市民組織です。父親の仲間づくりと励まし合いがテーマです。シングルファザーだけの団体ではないですが、シングルファザーのつながりづくり、仲間づくりも応援しています。シングルファザーの交流会をご希望の方は、ぜひ、連絡してみてください。企画致します!ホームページの問い合わせフォーム、もしくは、
a.yoshioka555@yahoo.ne.jp
事務局:吉岡まで。

■「えぞ父子ネット」

札幌在住のシングルファザーであるお父さんが立ち上げた市民組織です。全国から寄せられるシングルファザーの相談に応じたり、講演活動も行っています。本誌にもアドバイザーとして関わってもらっています。

■「全国父子家庭支援ネットワーク」

父子家庭当事者として支援ネットワークを立ち上げた全国組織です。父子家庭の現状を広く伝えると共に父子家庭支援制度の改善を訴え、国の制度を動かす原動力となった団体です。仙台市が拠点です。本誌21ページから代表理事の村上さんのインタビューを掲載しています。

※いずれもホームページなどSNSでのアクセスが可能です。ぜひ、つながりあって、助け合う仲間をつくりましょう!!

19
相談窓口

■行政の福祉支援制度などを利用する場合
→市町村の窓口

■子どもの学校や子どもの育ちについて

教育委員会の相談窓口、児童相談所、
児童養護施設に併設されている家庭支援センターなど

大事なこと

※行政の窓口などで思ったような回答を得られなくてもあきらめないことが大切です。民間の支援組織や支援団体などにも相談してみるほか、園や学校の先生にも相談してみてほしと思います。保護者で理解してくれる人にも相談してみる価値は大です。とにかく一回の相談でうまくいかなくてもあきらめないことが重要です。そして、経験者のシングルファザーとつながりを持つことが、より生きた情報を入手する近道であることもお忘れなく!

次ページから登場していただく、全国父子家庭支援ネットワーク代表理事の村上吉宣さんは、こうアドバイスしてくれました。→「自分のストーリーを二時間行政の窓口で話すより、例えば“月々の生活費が足りません”といった具体的な内容をそのまま伝えると担当部署にすぐにつないでくれます」。これが相談時のコツのようです。

20
PDF版はこちらから → 「シングルファザーハンドブック.PDF