シングルファザーハンドブック 1

シングルファザー
ハンドブック

父子家庭で子育てしている
お父さんへ

「北海道社会福祉総合基金」助成事業
制作:「父親ネットワーク北海道」
シングルファザーハンドブック編集委員会

Mission
使命

このハンドブックは、父子家庭の当事者がその体験をもとにつくった一冊です。シングルファザーは、シングルマザーに比べ、数が少ないこともあり、あまり関心を持たれてきませんでした。しかし、特有の課題があり、特に孤立という大きな問題があります。同じ状況にあるお父さんには、一人じゃないよと伝えたいです。父子家庭になって、はじめて知ること、気づくことがたくさんありました。このハンドブックを読んで、子育てが少し楽になったり、共感したり、ほっとしたり、自分だけじゃないんだ―と思ってもらえたら幸いです。そして、もし可能であれば、このハンドブックを架け橋にシングルファザー同士がつながり合い、助け合える社会になればと思っています!

“当事者がつくる”
「シングルファザー ハンドブック」編集委員会
父親ネットワーク北海道
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キーワード
経験・共感
私たちの経験を伝えます

シングルファザー当事者である3人の父親が集結し、その経験をもとに内容をまとめています。

我々は、実家の親などが身近に住んでいないため、孤軍奮闘してきた経験を持つという共通点があるメンバーです。伝えたいことはたくさんありますが、仕事・家事・子どもの育ち・相談の4項目についてまとめてみました。

編集委員会メンバー
一郎父さん
(中学生の男の子と小学生の女の子の父親)
ジョニー
(中学生の女の子の父親)
キラパパ
(小学生と保育園年長の男の子の父親)
特別参加~ニコママ
(大学生と高校生の男の子の母親、子育て支援活動実践者)
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Contents

■仕事編
  • 子育てしながら会社勤めは続けられるのか?・・・6
  • 会社を辞めて、子育てしながら”自営業”という道を選ぶとどうなる?・・・6~7
  • 子どもの預け先って、どんなのがあるの?・・・8~9
  • 保育所でママ友をつくると助けてもらえます!・・・8
■家事編
  • 家事の合理化の極意とは?・・・10
  • 子どもの「弁当づくり」~ああ、ハードル高し、茶色が多くなる??・・・10
  • 園の「スモック」って、何???・・・11
  • 体験談と素朴な疑問~みなさん、どうですか?・・・12
■子どもの育ち編
  • シングルファザーといっても人的資源の格差があるのです!・・・13
  • 保育所&幼稚園とは結構違う小学校。学童保育所がカギ・・・14
  • 思春期~女の子は保健室の先生に助けてもらおう・・・15
■相談編
  • 収入減でも行政の支援が受けられない!?所得要件のカベ・・・16
  • 誰にも頼らず、誰にも知られない、絶対的少数派”父子家庭”・・・17
  • 人の助けを借りてみよう!!!・・・18
  • 民間のシングルファザー支援組織・・・19
  • 相談窓口で大事な“心構え”・・・20
■「全国父子家庭支援ネットワーク」(宮城県)代表理事インタビュー・・・21
■「父子家庭」当事者からの提案
①こんな支援がほしい ②「あったらいいなシェアハウス」・・・26
■<メッセージ>
〜これからシングルで子どもを育てようと考えているお父さんへ・・・29
■編集後記・・・30

もくじ

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■仕事編

子育てしながら会社勤めは続けられるか?

一郎父さん

「現実的には、会社勤めは厳しいものがある。子どもが乳幼児だとなおさら。私は仕事を辞め、自宅でできる仕事と単発でできる仕事に変えました。しかし、なんとか生活できたのは、国家資格をもっていたからできたことでした」

ジョニー

「僕も仕事を辞めて、家でできるインターネットを使った仕事に挑戦しました。しかし、自営業という道は決して楽ではありません。早まってはいけないと、強く強く思います」

キラパパ

「僕は仕事を辞めませんでした。職場のみんなに事情を話して、理解してもらいました。けれど、離婚をしたのは、下の子がおむつをしていた時期なので、熱をだしたりで本当に大変でした。

保育園のお迎えに間に合わせるために仕事を切り上げるとやっぱり、残業もできないし、休日の仕事もできなかったりするので、チームで動く仕事だと正直結構辛いです。責任が果たせないこともでてきて。早く帰ったりで一緒に仕事ができないのに、なぜ上司として指示するんだ、という後輩から愚痴が聞こえてきます・・・。

それでも会社は理解があって、助かっています。保育所のお迎えが7時なので仕事は6時には切り上げています」

6
■仕事編

ちょっと待って!

簡単に“脱サラ”してはいけません!!自営業の道は厳しい・・

ジョニー

「やってみると自営業の道は、とてもとても厳しいです。子どもを養うだけの利益をあげることは、至難の業。まずは、いまの仕事をどうやって継続させるかを考えるべき。

ほとんどの企業は二重雇用禁止だと思うけれど、インターネットなどの不用品個人売買のようなものなら問題ないと思うので、そういうところからトライして感触をみるのもいいのでは?」

一郎父さん

「子どもが乳児や幼児の時は、思い切って生活保護を受けることも一つの方法なんじゃないかな。子どもが少し大きくなったら、たくさん働いて生活保護をやめていけばいいと思うのですがどうでしょう?」

Q&A生活保護って

生活保護は、働いていても国が定める「最低生活費」よりも収入が少なく、所持金や貯金もわずかであれば利用できる制度です。

ただ、男性の場合は、収入が高めのため、父子家庭になり収入が減っても公的な支援を受けにくいケースが少なくないようです。

子どもが小さかったり、障がいがあったりと働くことが難しい場合は、行政の窓口に相談に行ってみてほしいです。一回目がだめでも二回目の窓口の人はいいアイディアを持っているかもしれません。あきらめないで!(ニコママ)

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■仕事編

離婚を職場の同僚に伝えたほうがいい?

キラパパ

「総務には言って、あとは言わないという方法もあるし、職場の人に理解してもらったり、協力してもらうために正直に伝えるのもいいかも」

仕事を辞めず、働き続けるために・・

子どもの預け先・・・etc

  1. 保育所
    最も一般的なのが保育所。
  2. 幼稚園
    今は朝夕の預かり保育がある園が多いので、働きながら幼稚園を利用することも選択肢のひとつ。ただし、保育時間は短め。
  3. 認定こども園
    保育所と幼稚園、子育て支援の機能を一緒にした施設。これから増えそう。

ポイント「ママ友」づくり

保育所、幼稚園、認定こども園、いずれの施設であっても、最も重要なことは、「ママ友」をつくることです。

キラパパ

「保育所で仲良くなったお母さんとは情報交換をしたり、子どもを預かってもらったり、本当に助けられています。残業で保育所のお迎えが間に合わないときは、何度もママ友が預かってくれました」

今の職場を辞めずに小さな子どもを育てるには、保育所でのママ友、先生との人間関係が大切!!僕は園長先生の配慮にどれだ助けられたかわかりません!(ジョニー)

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保育所、幼稚園、認定こども園以外の
子どもの預け先・・・急用の場合など

住んでいる自治体によって、さまざまだと思いますが、子どもの面倒がみられない時に預けることができる制度はいろいろあります。事前に調べておくことをお勧めします!!

例えば

■ファミリー・サポートセンター・・・支援を受けたい人と援助したい人が事前に会員登録をして助け合う仕組みです。料金はかかりますが、比較的低料金です。良い点は、同じ地域で預け合えることです。子どもと気が合う提供会員と出会えれば、親戚の家に行くような雰囲気で利用できます。(ニコママ経験談)

■こども緊急サポートネットワーク・・・子どもの病気や急な残業、急用で園の送迎ができない時に利用できます。こちらも事前登録が必要です。宿泊も可です。

■病後児ディサービス・・・子どもが病気の回復期で園を休まなければならない時に利用することができます。しかし、僕が利用したときは、病院で診察を受けてから預けに行くので、朝早くから預けて、いつも通り出勤というわけにはいきませんでした。医療機関で受け入れをしているので安心ですが、定員が少なく、利用できないこともあるのは残念。(ジョニー経験談)

■子どもショートステイ・・・保護者が病気、出張、冠婚葬祭などで一時的に子どもの世話ができない時に「乳児院」や「児童養護施設」等で預かってもらえます。ただ、子どもにとっては見知らぬ施設で過ごすことになるため、十分な配慮が必要だと思います。

■ベビーシッター・・・NPOや民間企業などに頼むことができます。「NPOのベビーシッターさんを何度か頼んだところ、毎回同じ方(保育士有資格者)が来てくれて、子どもがすっかり馴染んで、私が帰っると“もう帰ってきたのぉ~”とがっかりされた経験が何度もあります。信頼できるベビーシッターさんと出会えると、子育てがグンと楽になります。今でも本当に感謝しています。ただ、料金はそれなりに必要ですが・・・」(ニコママ経験談)

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