Home

第3回 父親ネットワーク北海道全体交流会 報告

image(全体)

 2013年10月19日、札幌で父親ネットワーク北海道の全体交流会を行いました。設立集会から3年目となる今年も稚内、苫小牧、札幌などからたくさんのお父さんたちが駆けつけました!今回は、新たにメンバーに加わった新得町のお父さんも参加され、総勢35名での交流となりました。

平間信雄さんからのメッセージ

稚内教育相談所所長から
のメッセージ(PDF)

 全体交流会ではまず父親ネットの活動報告を行いました。北海道各地での交流会、社全協千葉集会での実践報告など全国への発信、いくつかの大学に招かれゲストスピーカーとしての活動、「月刊 社会教育」で取り上げられたことなどを紹介しました。少しずつですが仲間の輪が広がってきていることを実感しています。続いて、前回の交流会開催地・稚内から届いた応援メッセージを紹介しました。「おやじ」という言葉をつかった「親父宣言」です!(図参照)稚内教育相談所所長の平間信雄さんから届いたものです。大事にしていきたい共通の思いになっています!

 次にお父さんたちのグループ活動の先駆的な実践事例として札幌市北区篠路での取り組みを報告していただきました。札幌市立篠路中学校PTA会長の橋本幸司さんは、2年前から篠路コミュニティーセンターと協働で同センターを会場におやじ塾「まなび舎しのろ」の実践を行っています。塾に通える子と通えない子がいる現状を知り、経済格差イコール教育格差とならないように、さらに小学校から中学校という移行が難しい時期の子どもたちの居場所をつくりたいという思いからこの実践が始まったそうです。現在、中学1年生を対象に学習支援を行っています。おやじの会のメンバーや大学生のボランティア、教員経験者などの力を借りながら一人ひとりの子どもに向き合っているそうです。これまでの活動でのべ270人の子どもが「まなび舎しのろ」に足を運んでくれたとのことでした。

交流会での橋本さんの報告に感銘を受けたお父さんがたくさんいらっしゃったようで、参加したお父さんからは「この交流会に参加しているお父さんの家庭の子どもたちはきっとしっかり育ってくれると思います。私たちは自分たちの地域に帰ったときわが子だけでなく自分の周りの子どもたち、地域の子どもたちのために何ができるのか考えて活動していくことが大事なことであると思いました。そして、このことについてじっくり考えていきたい」という決意が語られました。

 次に手島孝通さんによる「子どもが自ら育つ力を信じて~今、親として大切にしたいこと」と題したミニ講演を行いました。手島さんの講演では、現代社会の子どもたちは、親や大人たちが何でも先回りをしてしまい、子ども自身が失敗するという経験さえできない状況を生んでしまっていること、また、我慢をすることや努力をすることも経験しにくい社会になっていることが指摘されました。子ども時代だからこその貴重な体験、経験を大人たちが奪わないようにしなければならないと気づかせていただいた内容でした。さらに、親として子どもを「甘やかすこと」と「甘えさせる」ことの違いをしっかりと認識することの意義についてもお話いただき、親としての心構えを改めて見つめる時間となりました。

 後半はリレートーク「私の子育て」と題して、4人のお父さんたちに自らの子育てを語っていただきました。訥々と語る自身の子育てでは、仕事ばかりだった頃の反省や子育てを精一杯がんばってきた結果、父娘の良好な関係をつくることができた体験など若い世代のお父さんにとっては貴重な経験交流の時間となったのではないでしょうか。続いてリレートーク「私の父親」では、3人の大学生にお話していただきました。母親と姉妹と父親の家庭で、仕事一筋の父親の居場所がないこと、娘として仕事ばかりで地域の人とも交流のない父親のリタイア後を心配する思いなどが語られました。また、父親に対する感謝の気持ちなど正直な若者の言葉の数々はわれわれ親たちにずしりと響きました。初の試みとなったリレートークでは、日頃、なかなか交流できない父親と子ども、それぞれの思いの一端を垣間見ることができた時間となりました。

 父親ネットの全体交流会は、設立年は会員同士お互いの父親グループ活動を知り合うことが中心的なテーマでした。2年目はいじめが社会の問題としてクローズアップされ、われわれも父親(親)としていじめを考えることをテーマに交流会を開催しました。3年目となる今年は、父親の子育てで大事なこと私たちの活動で大事にしたいことをあらためて見つめる内容を考えました。そして、私たちがなすべきことの方向を考える機会づくりをめざしました。今回、父親同士の交流を柱にしつつ、地域の子育て課題をみつめそれに対して力を発揮する可能性を見つけることができました。また、若い世代との交流を位置づけ、私たちの世代から次の世代へ子育て文化を伝えていくことの大切さにも気づくことができた交流会となりました。